本書は、上巻・下巻で構成されています。
まず、上巻に関して私の感想を述べさせてください。
本書は、人類が生存できた要因は、「虚構」にあると説いております。
私が、鬱病になって、この世は幻であり、実体が無い世界だと思ってきました。
本書は、それに対して著者の専門である歴史学という観点から議論しております。
しかし、歴史学の観点だけではなく、哲学、宗教学、物理学、生物学の観点に対しても着目しております。
批判的に読んでいたのですが、ぐうの音も出ないほど説かれており、一時期、私は会社にいけなくなるほど鬱病が再発してしまいました。
私自身が、鬱病を患ってから考えてきたことを、様々な分野を通して多角的に説かれた点で、余計に私の中の虚無主義が強化されました。
「生きる意味は、無い。」
という結論を強化するようでした。
本書(上巻)は、人類と他の霊長類の比較から始まり、認知革命、農業革命、人類の統一へという流れになっております。
個人的には、人類と他の霊長類の比較を通した考察が一番興味深かったです。
「人類」は、他の動物と同じだということに気付かされます。
世の中には、あたかも「人類」が特別であるような風潮がございます。
本当にそうなのでしょうか。
私が、鬱病を患ってから、犬や猫、豚の行動を観察するにつれて、
彼らは、食欲、睡眠欲、性欲を満たそうとしているだけのように思えてきました。
人間も根本は同じですが、この三大欲求に加え、承認欲求が付加されました。
承認欲求は厄介です。実体が無いのですから…。
鬱病を患うと、今までの抱えていた承認欲求の辛さが10分の1ぐらいまで小さくなりました。
承認欲求が幻であると気づき、しがみつくこともほとんど無くなりました。
(0ではありませんが…。0にするとフル○ンで外を歩いても平気な状態です。)
周りのマウント大会でも、ゴリラのマウンティングと同じです。
怒られても、ゴリラのドラミングと同じです。
いずれにせよ威嚇行為です。不満の表現です。
実体はありません。
三大欲求を満たしていれば十分なのではないかと思います。
本書で心に留まった点を1, 2に示します。
1.贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる。
電子メールは、1990年代では、贅沢な通信手段でした。
ところが、現在は、電子メールに追われる生活があります。
いくら便利なものを発明しても、疲弊する現実が横たわっています。
ここで大事なのは、「アホのふりをする」です。
老子の言葉の中に、役に立たないものは、生き延びるという言葉があります。
有用な木は、切られて使われてしまいますが、
凸凹で使えない木は、生き続けます。
便利な道具で、1時間の仕事が10分に短縮できたら、
仕事を多くして忙しくすることなく、
50分を自分の余暇に当てれば良いと思います。
私は、これを実践し、1日で終わる仕事を、
3日かかることにして、2日分休んでました。
自分を追い込んではいけません。
時間的な余裕がなくなり、心の余裕を失い、
幸福度が下がります。
2.脱出不能の監獄
…と書いてきましたが、本書はあまりにも内容が濃く、私にとってこれ以上感想を述べることは難しいです。本書を持ち、読むことが大事であると思います。
本書の購入先(Amazon)を下記に示します。
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